はじめに
※アイキャッチ画像はイメージです。
大和市を代表する引地台公園と引地台温水プールにおいて、令和8年4月1日の愛称使用開始を目指し、ネーミングライツスポンサーを募集します。詳細につきましては、「5 募集要項及び各種様式」をご確認ください。概要は次のとおりです。https://www.city.yamato.lg.jp/gyosei/kurashi/koen_ryokuchi/keikaku_jigyo/25110.html
近年、自治体や公共施設で「ネーミングライツ(命名権)」を導入する動きが広がっています。これは、企業や団体が施設に“愛称”を命名する権利を買い取る制度です。単なる広告手段としてではなく、「地域とのつながり」や「施設価値の向上」「応援の意味」を含めて考えると、とても面白い試みと言えます。
この記事では、神奈川県大和市が最近発表した「引地台公園と引地台温水プール」のネーミングライツ募集をモデルケースに、背景・意義・効果・検討ポイントを整理します。このタイミングで、ネーミングライツ導入を検討してみてはいかがかでしょうか。
大和市のネーミングライツ募集概要(事例紹介)
まず、ニュースの内容を簡単に紹介します。
大和市は、引地台公園および引地台温水プールについて、令和8年(西暦で2030年4月1日)から5年間のネーミングライツ契約を結ぶスポンサー(ネーミングライツパートナー)を募集すると発表しました。
主な条件は以下の通りです(抜粋):
- 対象施設:引地台公園/引地台温水プール。両施設を1パッケージで応募することも可能。
- 契約期間:令和8年4月1日~令和13年3月31日(5年間)
- 年額ネーミングライツ料(希望額):
・引地台公園 → 年額 2,000,000円(消費税等含む)
・引地台温水プール → 年額 1,000,000円(消費税等含む) - 愛称使用開始:令和8年4月(予定)
- スケジュール:公募要項発表は令和7年10月、応募期間は11月上旬~11月末、審査・交渉を経て令和8年2月ごろ契約締結予定
募集要項には、応募要件・提案方式・名称ガイドラインなどが整備されており、「施設の魅力を高める提案」を期待する姿勢もうかがえます。
この事例を通じて、ネーミングライツ制度の意味や効果を、一般の方にも分かりやすくまとめてみます。
なぜネーミングライツを導入するのか?(背景と意義)
ネーミングライツ導入の背景には、自治体・施設運営者側とスポンサー側、双方の課題や狙いがあります。
自治体・施設側の立場から
- 安定的な運営資金を確保する
地方自治体は、人口減少や税収の伸び悩みなどで「財政が厳しい」という課題を抱えています。公共施設の維持・管理費、老朽化対応、修繕、清掃、人件費などは継続的なコストです。ネーミングライツ料は、こうした費用を補填する財源の一助になります。
大和市も「厳しい財政状況の中、安定的な財源確保により、持続可能な施設の運営に資すること」をネーミングライツ導入の目的としています。大和市公式サイト - 民間ノウハウ・提案力を取り込む
単なる資金提供だけでなく、ネーミングライツを通じて、命名者(スポンサー)から「施設の価値を高める企画」「プロモーション」「管理改善案」などを提案してもらえる可能性があります。これにより、施設の魅力や利用者サービスを向上させ、より活性化を促せます。
ニュースにも「民間の資源やノウハウ等を活用した、施設等の魅力を高める提案をしてもらう」ことが明記されています。 - 地域活性化・拠点づくり
施設自体が地域のランドマーク性を持つなら、ネーミングライツ導入でその存在感を強め、地域外からの誘客やイベント開催の誘因にもつながります。施設の「顔」としてブランドを作ることで、地域の魅力づくりへの波及効果を期待できます。
スポンサー側・企業側の視点から
- 広告・ブランド認知
ネーミングライツ取得により、施設の看板・案内板・公式ウェブサイト・パンフレット・チラシ・広報誌などで企業名やブランド名が露出します。そこに来る利用者や訪問者に名前を印象づけられ、知名度向上効果があります。 - 地域とのつながり・イメージ向上
公共施設に名前を付けるという行為自体が、「地域を応援する」「地元に根ざす企業」というメッセージになります。地域住民・利用者に対して、ただ広告を出すだけの存在ではなく「応援者・支援者」として認識されやすくなります。 - コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ(CSR)の一環として
地域公共施設を支えるという側面は、企業の社会貢献アピールとなります。単なる一過性の広告ではなく、長期的に“地域の一員”として関わる象徴となり得ます。 - 長期的な関係構築
ネーミングライツ契約は通常複数年契約であるため、短期的な広告では得られない「継続的な存在感」が得られます。地域の人々の記憶に定着しやすく、信頼関係や親しみも育ちやすくなる可能性があります。
命名による効果・期待される成果
ネーミングライツを導入した施設で、どのような効果が現れうるか、ポイントを整理します。
- 記憶・認知の定着
人は「名前」で記憶することが多いものです。施設に企業名が冠されると、イベント案内・地図表示・看板などを通じて、その名前が繰り返し目に入ります。「あの建物=○○社アリーナ」として記憶されやすくなります。 - 地域の注目度アップ
ネーミングライツというニュース性・話題性を活かして、広報・メディア露出を得やすくなります。地域ニュースや新聞、ウェブメディアで紹介されることで、施設や地域そのものの注目を集められます。 - 来場者・利用者の増加
名称刷新やブランド化により、「新しくなった施設」「愛称がついた施設」として注目されることで、利用者の誘引につながる可能性があります。地域外からの訪問者にも「“○○公園”という名前がついているなら行ってみよう」と思わせる効果もあります。 - 施設価値の向上
ネーミングライツ収入を、施設の設備改善・清掃・利便性向上などに充てることができれば、利用者満足度を高める質的なアップにもつながります。そうなると、さらに継続的な利用が期待できます。 - 地域とのつながり強化・共感
命名を通じて企業と地域住民・利用者との接点が生まれます。地元イベントへの協賛、施設を活用した企画、地域PRとの連携など、「名前を支える」という意味での応援の気持ちが伝われば、信頼関係が生まれやすくなります。
他自治体の事例を見ても、このような効果が報じられています。例えば、津市では複数の施設でネーミングライツを募集し、企業名を冠することによる広告効果・地域貢献イメージ向上・運営資金確保などを目的としています。
また富士市(静岡県)では、新設の総合体育館に対してネーミングライツを導入し、「地域に親しまれる施設づくり」「運営基盤の確立」を目的とする例が紹介されています。
検討・導入時のポイント・注意点
良いネーミングライツ導入を実現するためには、企画段階で注意すべき点もあります。以下、ポイントをまとめます。
1. 命名名称の選定ルール(ガイドライン設定)
愛称(命名名)は、施設の性格や地域性を尊重するものであるべきです。長すぎたり読みにくかったり、施設イメージを損なう語が入ると反発を招く可能性があります。自治体は命名ガイドラインを設け、一定の基準を守ることを明示しておくことが望ましいです。
2. 適切な募集価格・契約期間設定
相場を見誤ると応募がない、または価格が見合わず利益にならない可能性があります。また、あまり長すぎる契約期間は命名者側・地域側双方の柔軟性を損なうことがあります。5年程度の中期が多く採用されるのは、過度な縛りを避けつつ継続性を担保するバランスを取るためです。
3. 競争性・提案重視の方式
単純に「高額者に命名権を与える」方式だけでなく、施設活用・地域連携・プロモーション案を含めた提案型を採ることが望ましいです。そうすることで、資金以上の付加価値(企画力、地域貢献など)を引き出せます。
4. 透明性・公正性の確保
公平な審査基準、情報公開、応募者への説明責任を明確にしておくことが信頼獲得には不可欠です。住民・利用者の理解を得るためにも、募集要件や審査プロセスをできるだけオープンにすることが望ましいです。
5. 継続的なフォロー・関係構築
契約期間中、命名者と施設・自治体の連携を強めることが重要です。共同イベント、広報協力、命名者の施設使用感フィードバック、住民向けPRなど、関係性を育てていくための仕組みをあらかじめ設計しておくとよいでしょう。
総括・呼びかけ:ネーミングライツ導入を検討してみては?
大和市が公表した「引地台公園・引地台温水プール」のネーミングライツ募集は、まさに公共施設運営者と地域企業・団体との新しい関係づくりを象徴するモデルケースになり得ます。上記のように、ネーミングライツは単なる広告とは異なり、施設価値を高め、地域とのつながりを育める「応援の名前」という側面を持ち得ます。
もしあなたが、地域で活動されている企業・団体であれば、ネーミングライツの取得を一つの選択肢として捉えてみてはいかがでしょうか。
施設名に自社名を冠することは、広告としての効果だけでなく、地域貢献・ブランド力向上・利用者との共感構築という価値を併せ持つ機会となります。
ただし、導入には企画力・地域理解・愛称設計・提案力などが不可欠です。自治体側・命名者側双方の意見を丁寧にすり合わせ、透明性と魅力ある提案を持って応募することが成功の鍵となります。
ネーミングライツは「名前を貸す」ことではなく、「名前で応援する」「名前で共に歩む」機会にもなりえます。ぜひこの制度を理解・活用し、地域とともに未来を育むパートナーの一つに加えてみてください。

