※アイキャッチ画像はイメージです。
埼玉県では、地域産業の振興や地域住民の活動・交流の促進を図るため、春日部市と共同で東部地域振興ふれあい拠点施設(現愛称:ふれあいキューブ)を設置しています。 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/news/page/news2025102001.html
先日、埼玉県は、春日部市と共同で整備している複合施設、 埼玉県東部地域振興ふれあい拠点施設(現愛称「ふれあいキューブ」) に対して、ネーミングライツ(命名権)パートナーを公募する旨を発表しました。 埼玉県公式サイト
この施設は、県と春日部市が地域産業の振興および住民の交流・活動促進を目的に整備した複合型の拠点で、地域のにぎわいや産業支援、住民活動の場として機能しています。
こうした施設を維持・運営していくうえで 新たな財源確保 が課題となっており、それを補う手段のひとつとして、今回「施設の愛称(愛称=通称名)を企業・団体に付与する」ネーミングライツ契約を導入しよう、という流れです。
このような取り組みは、単なる広告・宣伝の枠にとどまらず、地域の施設がどのように多様な主体の参画を得て「地域価値」を高めていくか、という観点でも注目に値します。
ネーミングライツとは? 「名前を貸す」意味を押さえよう
「ネーミングライツ(命名権)」という言葉を聞くと、どうしても ‘企業が名前を施設につける広告契約’ というイメージを持ちがちです。確かに広告・ブランド露出という側面はありますが、もう少し視野を広げてみると、以下のポイントも重要です。
① 利用価値の向上
施設が “企業・団体の名前” を冠して呼ばれることで、その施設に対する 認知度・印象 が変化します。新しい愛称がメディアで使われたり、市民に浸透すれば、「あの施設=〇〇さんが支えている拠点」という印象がつき、利用促進や地域活動への参加を後押しする可能性があります。
② 地域のつながり・参画の促進
ネーミングライツ契約を結ぶ企業・団体は、地域との関わりを強めたり、地域貢献の姿勢を示す機会になります。施設側から見ても、単に資金を得るだけでなく「この施設を一緒に育てていこう」という 共創的な関係 を築きやすくなります。今回の事例でも「地域産業振興や住民交流・活動促進を図るため」という目的が明確に示されています。
③ “応援する”というメッセージ性
名前を付けるということは、施設を応援する・支えるという意思表示にもなります。地域にとっても、そのような “スポンサー=応援者” の存在が見えることで、住民の誇りや愛着を高めるきっかけになります。施設を利用する立場からすると、「この施設は地域の〇〇企業が支えている」「この場所を活用しよう」という意識につながるかもしれません。
今回の事例に見るポイント
今回の埼玉県事例(「ふれあいキューブ」)には、いくつか注目すべきポイントがあります。
- 施設の性格:地域産業振興・住民交流・活動促進を目的とする複合施設。地域の“ハブ”として期待されている拠点です。
- 契約金額の目安:会計年度ごとに消費税抜きで300万円以上と定められています。
- 応募期間・契約期間:募集期間は令和7年10月20日から11月25日。契約希望期間は契約締結日から令和13年3月31日まで。
- 愛称の条件:愛称の一部に「ふれあいキューブ」を用いること、そして正式名称(「埼玉県東部地域振興ふれあい拠点施設」)は変更されず、あくまで “愛称” として名前が追加される形式です。
こうした内容から、単に “名前を付ける” だけでなく、施設のブランドや地域とのつながりを損なわずに、かつ支援・協働を進めたいという姿勢が読み取れます。
ネーミングライツ導入による効果
企業・団体や地域にとって、ネーミングライツ導入には次のような効果が期待できます。
- ブランド認知の向上:例えば地域の施設名に企業名が付くことで、その施設を利用する人・地域住民・関係者にその企業の名前が浸透しやすくなります。
- 地域との関係構築・CSR(社会的責任)アピール:地域拠点の命名権を取得することで、「地域を支える」「地域の活動を後押しする」という姿勢を対外的に示せます。
- 施設活用・交流促進:ネーミングライツがきっかけで、企業が施設内でイベントを行ったり、連携プログラムを展開したりするケースがあります。これにより、施設利用が活発化する可能性があります。
- 施設側の財源確保・持続可能性:公共施設や地域拠点施設にとっては、税収だけでなく多様な収入源を確保して運営の安定性を高める機会になります。今回の事例もまさにこの視点が背景にあります。
ネーミングライツを検討する際のポイント
もし貴社・団体で「ネーミングライツ購入」を検討されるのであれば、以下の観点を押さえておくと安心です。
- 施設・拠点の性格を理解する
– 地域の住民交流、産業振興、文化・スポーツなど、施設の役割・目的に共感できるか。
– 利用者層・地域のニーズはどのようなものか。 - 名称条件・契約条件を確認する
– 愛称の使用ルール(今回のように「ふれあいキューブ」を必須とする条件など)や、正式名称の併記義務。
– 契約期間・希望金額・応募資格などを把握する。 - 地域との関わり方を設計する
– 名前を付けるだけではなく、施設でのイベント・地域住民との交流・情報発信など、どのように “支援” を見せていくか。
– ネーミングライツを通じて、地域に対してどんな “価値” を提供できるのかを考える。 - ブランド・認知への影響を考慮する
– 自社・団体のブランドイメージと施設のイメージが乖離していないか。
– 地域住民や利用者にどのように受け止められそうか。 - 費用対効果と長期視点
– 名称使用料だけでなく、名称付与後の活動(地域イベント、PR活動など)にかかる費用も検討。
– 契約期間中にどのような成果・関係づくりを行っていくかの計画を持つ。
まとめ:「地域を支える名前をつけてみませんか?」
今回の埼玉県によるネーミングライツ募集は、単なる広告目的ではなく「地域産業振興」「住民活動」「交流促進」という施設の目的を支える手段として提案されています。つまり、名前を付けることが、地域と一緒に「この施設を育てる」「施設を地域の資産とする」という参加・共感型の取り組みになっているのです。
もし貴社・団体で「ネーミングライツ購入」を検討されているなら、ぜひこのような視点を持ってみてください。
- 広告・ブランド露出だけでなく、地域とのつながり・施設利用者との関係をつくること。
- 施設の価値を高め、地域に長く愛される拠点となるために、自社・団体がどのように関わるかを考えること。
- 単発ではなく、契約期間を通じて「応援し続ける」という姿勢を示すこと。
ネーミングライツによって、名前を付ける側も付けられる側も、そして地域全体も “win-win-win” の関係を築く可能性があります。本件のように、公的施設が命名権を募集する事例は増えており、検討対象としてぜひ視野に入れておきたい選択肢の一つです。

