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本学は、新たにネーミングライツ事業を導入いたしました。https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/naming_rights/
最近、東京農工大学(以下「農工大」)が「ネーミングライツパートナー」を募集開始したというニュースが出ていました。東京農工大学
「ネーミングライツ(命名権)」という制度が、広告という枠を超えて、地域・施設・事業者とつながっていきます。大学というところで、学生の目に入る環境で、リクルート活動にも大きく貢献が期待されます。
1.ネーミングライツとは何か?
ネーミングライツとは、ある施設や場所に「名称・愛称・商標・ロゴ」などを付ける「権利」を事業者が購入または契約する制度のことです。農工大の例で言えば、「講義室」「学習スペース」のような校内施設に対して、事業者の名称や愛称を付与できるパートナーを募集しています。東京農工大学
つまり、「○○講義室」「○○ラウンジ」といった名前を施設につけることで、事業者側には名前が使われる・目に触れやすくなるというメリットがあり、施設側には使途の拡大・知名度の向上というメリットがあります。
2.なぜ今、大学・施設がネーミングライツを導入?背景を整理すると
東京農工大学の案内には、こういった目的が挙げられています:
- 施設等の知名度を向上させるため。
- 教育・研究活動の向上につなげるため。
- 事業者と連携することで、産学連携や地域との共同利用を促進するため。
つまり、ただ「名前を貸す」だけでなく、施設の活用を促し、学生・教職員・地域住民が集まる場づくりを目指していることが読み取れます。例えば、「小売店舗や飲食店が入居」「地域住民も利用」といった記載があります。
これにより、施設が “大学内だけの閉じた空間” から、地域・外部とつながる「共創スペース」等へ広がる意義もあります。
3.命名による“効果”を3つの視点で考える
(1)事業者・企業視点
ネーミングライツを取得することで、単に広告展開するだけでなく、次のような効果があります。
- 名前が施設等に残ることで、長期的なブランド露出につながる。
- 学生や地域住民向けの「場」に名前がつくことで、「この企業はこのコミュニティと関わっている」というイメージを醸成できる。
- 産学連携・地域活動などの“社会貢献”的な面をアピールできる。農工大では「広告効果、リクルート活動の促進、イメージアップ、産学連携の促進など、複合的な効果」が期待できるとしています。
(2)施設・大学・公共機関視点
施設側からすると、次のようなメリットがあります。
- 命名権料を得ることで、施設維持・改修・活用促進の原資にできる。
- 名称が新たに付くことで、知名度や認知度が向上する。
- 事業者との連携によって、施設を“より使われる”“外部に開く”空間として活性化できる。農工大の説明でも「教育・研究活動の向上に貢献」することが目的とされています。
(3)地域・利用者(学生・住民)視点
見落とされがちですが、ここがネーミングライツの大きな意義の一つです。
- 地域住民も利用する施設であれば、地域との“接点”が増え、施設が開かれた場所になる。農工大では「地域住民の皆様とともに共創する空間を整備します」と記載があります。
- 学生・教職員・住民が入居・利用することで、場としての価値が上がる。「○○ラウンジ」など親しみを持てる愛称がつくと、利用の動機にもなり得ます。
- 「この施設の命名を通じて応援している」という企業・地域の姿勢が伝わることで、利用者側も“参加している”気持ちが強まる可能性があります。
4.農工大における実例紹介
農工大では既に命名権契約中の施設があります。
- 「TUAT∞MUSASHI EBG,INNOVATION CENTER|邂逅館」(対象施設:西東京国際イノベーション共創拠点)に、武蔵エンジニアリング株式会社が命名権者。契約期間:令和7年4月1日〜3年間。
この施設では「小売店舗や飲食店が入居」「農産物を用いた食品の実証実験・市場調査」「学生・教職員・地域住民とともに共創」等の取り組みが予定されています。 - また、「Sky Cafeteria/Sky E-Lounge」(対象:小金井キャンパス工学部総合会館食堂/ホールB)に、Sky株式会社が命名権者。契約期間:令和7年9月1日〜3年間。地域住民も利用する食堂・学習スペースの名称となっています。
これら実例から見えてくるのは、単に大学内の「部屋名を付ける」という発想を超えて、「地域・学生・事業者が交わる場」を創るという意図です。
5.なぜ“応援”としての命名権が重要か
「応援」という視点を加えると、ネーミングライツは次のように意味合いが広がります。
- 事業者が施設を支援したり、有効活用に参画したりすることで、単なる広告以上の関係性が生まれます。
- 施設・大学・地域が「この場を育てよう」「共につくろう」という姿勢で命名権を募集することで、命名者=利用者・支援者という位置づけにもなり得ます。
- 利用する学生・住民にとっても、「このラウンジは○○企業が命名したんだ」という背景があると親しみが湧き、「自分たちもこの場を活かそう」という心理が生まれやすいです。
このように、ネーミングライツ=“名前を貸すだけ”ではなく、“場を応援・育てる”という側面があるという点が、今回の農工大の募集案内からも明らかです。
6.ネーミングライツを検討する価値とは?
事業者として、「自社がネーミングライツを購入(検討)する」という考え方には、次のようなメリットがあります。
- 名前が公共性のある施設に付くことで、自社のブランドが“社会とつながる”印象を持たせることができる。
- 地域住民・学生という日常的な利用者にアプローチできる場となるため、広告効果だけでなく信頼・印象醸成に繋がる。
- 施設側との共同事業・産学連携などが想定されていれば、新たなビジネス機会・ネットワーク拡大の可能性もある。
- 施設・大学・地域の“未来の場づくり”に参画することで、自社もまた“場づくりの一員”と認知される可能性がある。
もちろん、検討の際には契約期間・施設の利用範囲・地域との関係性・命名権料などを慎重に見極める必要があります。ただ、単なる広告枠として捉えるだけでなく、「場を育てる」「地域とつながる」という価値を意識することで、ネーミングライツはより豊かな選択肢となるでしょう。
7.まとめ:地域・場・応援をつなぐ「名前の力」
今回ご紹介した農工大の例を通じて、「ネーミングライツ=広告」だけではなく、施設利用価値・地域とのつながり・応援の姿勢といった複数の側面を持つ制度であることが見えてきました。
施設が地域に開かれ、学生・教職員・住民・事業者が交わる場として機能すること、名前を付けることでその場に“意味”が生まれること――それが命名権の本質とも言えます。
もし自社が「地域と接点を持ちたい」「施設を通じてブランドを育てたい」「共に場をつくるパートナーになりたい」と考えているなら、ネーミングライツの購入・契約検討は非常に有効な選択肢です。
第三者の視点から言えば、地域や教育機関がこうした方式を取り入れることは、施設活用の活性化、外部との連携強化、そして「名前があることで記憶に残る場」になるという点で価値があります。
ぜひ、ネーミングライツという「名前で応援する」仕組みを、自社でも一度検討してみてはいかがでしょうか。

