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ネーミングライツパートナーの募集を行っていた下記施設について、ネーミングライツスポンサーを決定し、このたび契約締結式を執り行いました。
ネーミングライツスポンサーを募集します!ネーミングライツとはネーミングライツとは、公共施設等に企業名や商品名などを冠する愛称を命名する権利をいいます。市では、公共施設等の維持管理において自主財源の確保と施設経営の長期...
はじめに
最近、茨城県の 下妻市 で「ネーミングライツ(命名権)」の導入が進み、公共施設に新たな“愛称”が付きました。下妻市は、施設の名称を企業や団体に貸し出すことで、維持費の確保や地域とのつながりを深める仕組みを取り入れています。こうした取り組みは単なる広告以上の意味を持ち、地域の暮らしやまちづくりに影響を与える可能性があります。この記事では、下妻市の事例を通して、ネーミングライツの背景・意義・効果を整理し、ご紹介いたします。
下妻市におけるネーミングライツ導入の背景と最新状況
- 下妻市は、2025年5月9日付で、スポーツ施設の市立総合体育館に対して、地元企業 LIXIL下妻工場 とのネーミングライツ契約を締結。施設の愛称は LIXIL下妻総合体育館 となりました。契約期間は5年。
- また、にぎわい広場「Waiwaiドームしもつま」も、地元のベーカリーなどを展開する 株式会社井上フード が命名権を取得。愛称は 粉クリ・ドームしもつま(略称「粉クリ・ドーム」)となり、こちらも契約期間は5年。
- 下妻市は「下妻市ネーミングライツ事業実施要綱」を定め、公共施設の維持管理費用の確保や、官民連携による地域活性化を目的にネーミングライツ事業を進めており、対象施設は体育館・公園・運動施設など広く想定されています。
このように、下妻市ではネーミングライツが単なる名称変更にとどまらず、地域の公共施設を持続可能に運営するための重要な仕組みとして位置付けられています。
ネーミングライツとは――制度の概要と目的
まず「ネーミングライツ(命名権)」とは、公の施設やイベント、チームなどに対して、企業や団体が一定期間その“名前”を冠する権利を契約で取得する仕組みです。つまり、「〇〇体育館」「△△ホール」などを「企業名+施設名」にできる、というものです。
この制度の導入背景には、以下のような目的があります。
- 公共施設の維持管理費や運営費の確保:年々増える施設のメンテナンスや運営コストを、税収や補助金だけに頼らず、民間の支援金でまかなうことで、安定した運営が可能に。
- 官民連携による地域の活性化:地域企業などがスポンサーになることで、「このまちを支える企業」というイメージが生まれ、地元とのつながりが深まるきっかけになる。
- 施設の魅力アップと認知の向上:親しみやすい愛称がつくことで、住民にとって身近に感じられ、施設利用が促進されやすくなる。
ただし、ネーミングライツによって施設の正式名称が変わるわけではなく、多くの場合「通称・愛称」として使われる点が制度の前提です。
下妻の事例にみる、ネーミングライツの意義と効果
なぜ下妻市でこのタイミングでネーミングライツが導入されたのでしょうか。そして、それはどんな意味を持つのでしょうか。主な意義は以下の通りです。
◯ 財源の確保と施設運営の安定化
公共施設の維持や管理は、老朽化対策や清掃、人件費など意外とコストがかかるもの。ネーミングライツ料を得ることで、市は安定的な資金を確保でき、施設の質を下げずに長く運営できる基盤が生まれます。特に地方自治体では、税収だけでは厳しくなる場面も多いため、このような「地域の力を借りる」方法は重要な選択肢です。
◯ 地域企業と住民をつなぐ“応援の仕組み”
下妻市の例では、地元で事業を展開する企業がスポンサーになっています。たとえば、井上フードのような地域に根ざした企業が「粉クリ・ドームしもつま」の名を冠することで、「この企業は地元を応援している」というメッセージが住民に伝わります。これは単なる広告ではなく、「このまちを一緒に育てる」という姿勢そのものです。
◯ 施設の認知や親しみやすさの向上
“LIXIL下妻総合体育館”や“粉クリ・ドームしもつま”といった愛称は、市民にとって覚えやすく、日常的に使いやすい名前です。これがきっかけで、「あの施設、一度行ってみようか」「あそこなら子どもも安心して遊べそう」といった気持ちが生まれ、利用のハードルが下がる可能性があります。施設そのものの魅力や親しみやすさを高める効果も期待できます。
◯ 地域の“顔”としての新たな価値
単に施設を維持するだけでなく、地域のアイデンティティやコミュニティを育てる機会にもなります。企業と自治体、住民が一緒になって「この地域を良くしたい」という共通の意識を持つことで、施設が“地域のシンボル”となり、地域全体の一体感や誇りにつながる可能性があります。
ネーミングライツを検討するなら――考えておきたいポイント
もしあなた(企業・団体・個人)がネーミングライツ取得を検討するなら、次のような点を考えてみるとよいでしょう。
- 「自分たちの価値観と地域との関係性」を整理する
企業がただブランド露出を狙うだけでなく、「この地域で何をしたいのか」「どんなイメージを伝えたいか」を明確にすると、地域の共感を得やすくなります。 - 施設の種類・規模をよく見極める
スポーツ施設、公園、文化施設など、どの施設かによって来場者の層や使われ方が変わります。広告効果や地域貢献の意味合いを考えるなら、自社の目的に合った施設を選ぶことが大切です。 - 地域住民の受け止めやすさにも配慮する
呼びやすく、親しみやすい愛称かどうか。地域の文化や雰囲気を壊さないか。そうした配慮が、長く受け入れられる鍵になります。
終わりに:名前を「貸す」ではなく「共につくる」という視点で
ネーミングライツは、単なる広告の手段でも、名前を変えるための便法でもありません。それは、地域の未来に名を刻む一つの方法――企業・自治体・住民が手を取り合って、施設を維持し、育て、地域を盛り上げていくための 「共創の仕組み」 です。
下妻市のような例を見ると、この制度は、施設の維持管理を支える財源確保の手段であると同時に、地元企業の地域貢献、住民とのつながりづくり、そして地域のにぎわいや誇りを育むチャンスでもあります。
もし、あなたが企業・団体であれば――地域とのつながりを大切にしたい、地域に根ざした活動をしたい、と考えているなら、ネーミングライツの取得は、広告や宣伝を超えた“地域との新しい関係づくり”の第一歩になるかもしれません。
この制度を「名前を貸す」だけで終わらせず、「名前を共につくる」という視点で、ネーミングライツの可能性を検討されてはいかがでしょうか。


