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市が有する公共施設に対し、企業名等を冠した愛称を一定期間付与する権利(以下「ネーミングライツ」という。)を設定し、命名権者(以下「ネーミングライツパートナー」という。)からその対価を得ることにより、施設サービスの維持・向上を図ることを目的とし、ネーミングライツパートナーを募集します。
ネーミングライツパートナー募集
最近、鹿児島県の鹿屋市が「ネーミングライツパートナー募集」の公募を始めました。公共施設に“企業名などを冠した愛称”を付ける権利(ネーミングライツ)を、市が一定期間与えることで、施設の維持・向上を図ろうという取り組みです。この記事では、「ネーミングライツ」がどういうものか、鹿屋市ではどのような内容になっているか、導入することで期待できること、そして「購入してみては?」という視点から整理してみます。
ネーミングライツとは何か?
まず、「ネーミングライツ(命名権)」とは、公の施設(例えば運動公園、体育館、公園など)が持つ正式名称以外に、企業や団体などの名前を“愛称”として付ける権利のことです。具体的には、施設の看板、ポスター、パンフレット、ホームページ、テレビ・ラジオ・新聞などのメディアでその愛称を使うことができるようになります。
ただの「宣伝」だけではなく、公共性のある施設を通じて地域と企業・団体とを結びつけ、双方にとってメリットを生み出す仕組みです。
鹿屋市での募集内容(事例)
鹿屋市のネーミングライツ制度のポイントを整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象施設 | 「鹿屋市野里運動公園」(サッカー場、テニスコートなど複数施設を含む公共運動施設) 鹿屋市公式ウェブサイト |
| 愛称を付ける期間 | 原則として 3年以上5年以内 。ただし、指定管理者制度が導入されている施設などはその指定期間を考慮するとのこと。 鹿屋市公式ウェブサイト |
| 年間希望額(ネーミングライツ料) | この施設については年額税込で 110万円以上 を希望額としています。 鹿屋市公式ウェブサイト |
| 費用・負担の分担 | 看板等の表示変更や維持管理、契約終了後の原状回復、印刷物・ホームページの変更、広報などの市民への周知など、ネーミング権者(パートナー)が負担するものと、市が負担するものが明記されています。 鹿屋市公式ウェブサイト |
ネーミングライツ導入の背景・目的
では、なぜ鹿屋市がこの制度を導入したのか、その「背景」と「目的」を読み取ってみます。
- 施設の維持・向上の資金確保
公共施設は維持・管理にコストがかかります。税収や公費だけでは手が回らない部分を、市外・公の資金以外の手段で補うことができるのがネーミングライツの大きなメリットです。鹿屋市でも、“ネーミングライツ料を得ることによって施設サービスの維持・向上を図る”ことを目的にしています。 鹿屋市公式ウェブサイト - 施設の認知度アップ/利用拡大
愛称が付くことで、その施設が地域のみならず周辺地域にも知られる機会が増えます。「○○会社運動公園」などとなれば、企業名を通じて知名度が上がるだけでなく、施設を使いたい・訪れたいと思う人も増えるかもしれません。 - 地域とのつながり・応援の意識強化
地元企業や団体がこのネーミングライツを取得することで、「この施設を応援している」「地域を育てたい」というメッセージを出せます。利用者や市民にとっても、その施設が単なる公共のものから、“みんなで支えているもの”という意識が醸成される可能性があります。 - 広告効果・ブランディング
企業側には広告・宣伝の機会になります。看板や印刷物、またメディア露出などを通じて、自社・団体のブランドを地域社会に浸透させる効果が期待できます。また、「社会貢献をしている企業」というイメージにもつながることがあります。
命名による効果・注意点
効果
- 知名度・認知向上
愛称がついた施設名がマスメディアやSNSで使われると、その企業名や団体名も自然と露出します。地域住民以外にも名前が広まります。 - 地域貢献の姿勢のアピール
「地域の公共施設を支える側である」ということが、消費者や住民からの印象でプラスに働きます。CSR(企業の社会的責任)の一環として使えることも。 - 地域の利用促進・活性化
愛称がつくことで施設のイメージが新しく・親しみやすくなることがあり、利用者が増える・イベントなどで使われる機会が増える可能性があります。 - 公共施設のサービス向上
ネーミングライツ料が施設の改修・維持・新しい設備導入などに使われれば、利用者にとってより快適になる。
注意点
- 費用負担の要素
看板設置・表示変更・原状回復など、初期投資や維持管理の費用を負担する必要があります。希望額だけでなく、それらのコストを見積もっておくことが重要です。鹿屋市の案でも、パートナーが負担するものが明示されています。 鹿屋市公式ウェブサイト - 愛称の選定・使い方
地元住民に違和感がないか、施設のイメージと合うかなど、慎重に考える必要があります。「公共性」とのバランスも大事です。 - 契約期間後の対応
5年など一定期間の終了後には、愛称をどうするか(継続するか、別のものにするか)、看板等を元に戻すか、などの取り決めが必要です。鹿屋市でも「原状回復」の責任がパートナーに求められています。 鹿屋市公式ウェブサイト
鹿屋市の制度におけるポイント
鹿屋市のネーミングライツ募集で、特に注目すべきポイントを挙げると次のようになります。
- 対象施設が明確: 今回は「鹿屋市野里運動公園」が対象。利用者見込みも数字で示しており、施設の性格・規模が分かる。 鹿屋市公式ウェブサイト
- 希望額が具体的: 年110万円以上という希望額が提示されているので、どれくらいの資金が見込めるのかパートナー側としても判断しやすい。 鹿屋市公式ウェブサイト
- 期間の設定が柔軟: 原則3〜5年としながら、施設の管理方式(指定管理者の有無など)を考慮する余地を残している。 鹿屋市公式ウェブサイト
- 費用負担が明示されている: 表示変更、新設看板、印刷物の変更、契約終了後の原状回復など、具体的に何を負担するかが整理されている点が誠実。 鹿屋市公式ウェブサイト
命名権を購入してみるのはどうか? ~第三者視点からの提案
もしあなたが企業や団体の責任者、市民団体、あるいは地域での活動を考えている方だったら、このネーミングライツ、検討する価値は十分あると思います。以下は、購入を考えるにあたっての提案です。
- 目的を明確にする
宣伝なのか、地域支援・貢献なのか、それとも施設の利用促進を狙いたいのか。目的がはっきりすれば「どの施設か」「愛称をどうするか」「どの程度費用をかけられるか」が見えてきます。 - コストをしっかり確認する
年額料金だけでなく、看板設置費・変更費用・原状回復費用などの負担項目を見積もっておくことが重要です。鹿屋市の例では、このあたりが明示されているので安心ですが、それでも現実的な見積もりを取ることをおすすめします。 - 地域との関係性を重視する
地元住民・利用者が愛称になじめるか、施設が持つ歴史や地域性を尊重できるかどうかを考慮しましょう。地域の声を聞く、もしくは利用者アンケートを取るなどの配慮が、愛される・定着する愛称を生みます。 - ブランドイメージとの整合性
自社・団体のブランドイメージと施設の性格がかみ合っているかを確認しましょう。運動施設なのか、文化施設なのか、あるいは公共性の高い場所かで“愛称” の印象が変わります。 - 契約期間と将来の見通しを考える
3〜5年という期間で選定されることが多いので、その後の影響や継続性を考えておく。契約終了後の原状回復など、予期せぬコストが出ないようにすることも大切です。
結び:ネーミングライツで地域とともに未来を創る
鹿屋市のネーミングライツ制度は、公共施設の維持・向上、地域とのつながり、そして企業・団体にとっての宣伝・ブランディングという三つの側面をバランスよく考えたモデルと言えます。単なる広告手段としてではなく、「この地域を支える」「利用する人々にとってより良い施設をつくる」ことに資する制度です。
もしあなたが企業・団体として「何か地域に貢献したい」「新しい広告手段を探している」「地域との関係を深めたい」と思われるなら、ネーミングライツ購入を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。鹿屋市のみならず、全国各地で同じような制度が広がっており、うまく活用すれば双方にとってメリットのある素晴らしい取り組みになるはずです。


