「施設名」ではなく「応援の証」へ ~ 埼玉県さいたま市の公園施設ネーミングライツ募集から考える地域と企業の新たな結びつき

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さいたま市では、公園施設に通称を命名する権利を民間企業等へ売却し、それにより得られる収入を公園施設の維持管理費に充てることで、市民サービスの向上を図るとともに、民間企業等に新たな広告の機会や地域活動及び社会貢献の場を提供することを目的とした、公園施設ネーミングライツ事業に賛同していただけるパートナーを募集しています。https://www.city.saitama.lg.jp/004/006/003/003/p095358.html

先日、さいたま市が市営公園施設について「ネーミングライツ(施設命名権)パートナー」を募集していると発表しました。
このニュースを切り口に、ネーミングライツがもたらす背景・意義・効果を“広告”だけではない視点から整理し、地域における意味合いや企業・団体が検討する価値についてご紹介します。


なぜ今、「施設命名権」が注目されるのか?

さいたま市の募集案内によると、市が管理する野球場やサッカー場・テニスコート等の公園スポーツ施設に対して、民間企業等が「通称名(施設の別称)をつける権利」を購入することで得られる収入を、公園施設の維持管理費に充て、市民サービスの向上を図ることを目的としています。
つまり、従来「税金+利用料」で運営してきた施設のコストを、ネーミングライツという手法で補うことで、施設をより良く維持できる余地をつくろうというものです。

さらに、募集案内には「民間企業等に新たな広告機会や地域活動・社会貢献の場を提供する」とも記されています。
これが示すのは、ネーミングライツが単なる“看板を出す”という意味以上に、地域とのつながり・社会貢献・施設利用者との関係性づくりという側面を持っているということです。


広告+地域価値+“応援”という新しい視点

ネーミングライツの意義を整理すると、少なくとも以下のようなポイントが浮かび上がります。

1. 広告・ブランド露出の機会

企業が施設の名称に名前を付けることで、日常的に設置される板・看板・パンフレット・イベントなどを通じてブランド名や商品名が目に触れる機会が増えます。さいたま市の募集案内でも「企業名や商品名等の表示」が可能と明記されています。
つまり、従来の広告媒体とは異なり、地域の“場”の中に組み込まれることで、より生活者に近い露出が得られます。

2. 施設維持・公共サービスの支援

施設運営費をネーミングライツ収入で補うことで、行政の負担軽減・施設維持の安定化につながります。結果として、利用者である市民にとってはより良い環境で施設を使える可能性が高まります。

3. 地域とのつながり・社会貢献のアピール

ここが、広告だけではない重要な点です。ネーミングライツによって、企業が「この地域・この施設・この活動を応援しています」というメッセージを発信できます。地元のスポーツ施設や公園に名前が付くことで、「企業と地域住民が連携して施設を育てていく」という姿勢が見える化されます。
例えば、募集案内の中で「地域活動及び社会貢献の場を提供する」と言われている点が、まさにその意図を反映しています。
そのため、単なるスポンサー以上の“地域のパートナー”としての立場を築くことが可能です。

4. 利用価値の高まり・施設の再認識

施設が従来の名称から“○○社スタジアム”のようなネーミングになることで、新鮮さや注目を得ることがあります。利用者の意識変化を促し、施設の認知アップ、利用促進、イベント誘致などにつながる可能性があります。つまり、施設側・地域側にもプラスの“再発見”の機会が生まれます。


さいたま市の募集から見る活用のカタチ

具体的に、さいたま市の案内に記載されている事例があります。例えば:

  • 大宮公園サッカー場 → 通称「ナックファイブスタジアム大宮」:契約期間 令和3年3月1日~令和8年2月28日、年間契約金額1,000万円。
  • 浦和駒場スタジアムほか → 年間契約金額400万円。
  • 大和田公園野球場 → 年間契約金額700万円。

こうした既に導入されているネーミングライツ事例を見れば、施設の規模・利用頻度・地域的な注目度によって、契約金額・契約期間が設定されており、企業・団体にとっても入札・申請を検討する価値が明示されています。

また、募集案内には「一覧に掲載されていない公園施設への導入も協議可」とあるため、利用規模や地域特性に応じた柔軟な提案も可能です。
つまり、「うちの地域にあるあの施設」でも命名パートナーになれる可能性があるということです。


もし「ネーミングライツ購入」を考えるなら

企業・団体としてネーミングライツ購入を検討する際には、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 目的の明確化
     単に「名前を出したい」だけでなく、「地域でどう見られたいか」「施設を通じてどのような価値を提供したいか」「地域の利用者とどのように関わりたいか」を明確にします。地域に根ざした施設ならではの“共感”を引き出す企画を組むことで、効果が高まります。
  • 施設の選定と利用状況の把握
     契約対象の施設がどのくらいの利用者数・イベント数を持っているか、地域住民・利用者からどのように認知されているかを確認しましょう。利用価値の高い施設は露出も活用効果も高まります。
  • 地域との関わり方の設計
     命名だけで終わらせず、「地域住民との交流イベント」「施設利用者向けのサービス提供」「施設維持に対する貢献メッセージ」など、ネーミングライツを“応援”の手段として活かす構想を持つことで、説明責任やファンづくりにつながります。
  • 契約期間・金額・付帯特典の確認
     さいたま市の案内には「施設名表示」「施設の優先利用等の付帯特典」について協議できる旨が記載されています。 施設だけでなく、付帯特典=例えばイベント時のブース利用、施設内広告、施設利用者へのサービスなどを交渉しておくと効果的です。

地域に根ざし、共に育つネーミングライツ

今回、さいたま市の募集を機に改めて考えると、ネーミングライツは“広告”という枠を超えて、地域施設を“共に支え”“共に育てる”パートナーシップの手段として有効であることが分かります。企業や団体が地域の場に名前を付けることは、地域に向けた応援メッセージとも言えます。
「ただ名前を貸す」のではなく、「この施設・この地域の価値を一緒に高めましょう」という姿勢が伝わると、地域住民の信頼・認知・共感を得やすくなります。

もし、貴社・貴団体が「地域とのつながりを深めたい」「施設を通じて社会貢献を示したい」「認知を高めつつ、利用者に寄り添ったメッセージを発信したい」とお考えなら、ぜひこの機会に施設命名権=ネーミングライツの活用を検討されてみてはいかがでしょうか。
“場”を共有し、“地域”をともに育むネーミングライツという選択肢は、これからの企業活動・地域活動の中でも着目すべきひとつの手段です。

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