福島県喜多方市 地域と企業をつなぐ「命名権」 — 喜多方市の募集事例から見える新たな公共施設活用

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市では、市が所有する施設の維持管理費や運営費に充てるための新たな財源の確保と、知名度・集客力・サービス等の向上、市が行う広報活動やメディア等を通じて愛称が露出することによる企業側の広告宣伝効果、施設の維持管理を通じた地域貢献の機会の確保等が期待される「ネーミングライツ事業」の取組を進めています。https://www.city.kitakata.fukushima.jp/soshiki/zaisei/58726.html

福島県喜多方市が公表した「ネーミングライツ・パートナーを募集します」というニュースをもとに、公共施設における命名権(ネーミングライツ)がどういった意味を持ち、どんな可能性を秘めているのか、一般の方にもわかりやすく整理してみたいと思います。


1.何を募集しているのか

喜多方市では、市が所有する施設の維持管理費や運営費を確保する手段として、施設に「命名権(ネーミングライツ)」を付与する事業を進めています。
命名権とは、施設(例えばスポーツ施設・文化施設・公園・道路など)に対して、企業名やブランド名などを冠した愛称を付ける権利のこと。これを取得した企業は「ネーミングライツ・パートナー」と呼ばれます。
喜多方市の募集には、2種類のスタイルがあります。

  • 「施設特定型」:市が対象施設をあらかじめ特定して募集する形。
  • 「提案募集型」:民間事業者側から「この施設に名称を付けませんか」という提案を出す形。
    募集例として、市は「ひとづくり・交流拠点複合施設 アイデミきたかた」を対象とし、令和8年4月1日~令和11年3月31日(3年間)という契約期間、年額1,188,000円(税込)という希望額を提示しています。

2.背景と意義

このような命名権制度を導入する背景には、いくつかの重要なポイントがあります。

(1) 公的施設の維持・運営コストの課題

公共施設を運営・維持するには、建物の補修、電気・空調・清掃などのランニングコスト、あるいは施設を維持する人手やサービスの提供といった経費がかかります。こうした費用を市だけでまかなうのは、財政的に厳しいこともあります。喜多方市も「施設の維持管理費や運営費に充てるための新たな財源の確保」 を目的としています。

(2) 知名度・集客力・サービスの向上

施設に愛称が付くことで、施設が持つ“顔”が出来るとも言えます。名前を覚えやすくし、親しみを持ってもらい、地域の人々がより使いやすくなる効果も期待できます。喜多方市は「知名度・集客力・サービス等の向上」も目指すとしています。

(3) 企業の広告宣伝+地域貢献

企業側にとっても、施設の名称を付けることで、広報・メディア露出・ブランド認知などのメリットがあります。喜多方市の説明では「施設の愛称が露出することによる企業側の広告宣伝効果」も明記されています。

さらに、施設の維持管理を通じて「地域貢献の機会の確保」も意図されています。地域の施設を支えることを通して、地域とのつながりを強めることが可能です。

(4) 地域との関係強化・応援の気持ち

命名権の取得は一方的な広告だけでなく、「この地域を応援したい」「この施設を使って地域がもっと元気になってほしい」という思いを形にする手段とも言えます。企業と地域、施設をつなぐ「パートナーシップ」のあり方がそこにはあります。


3.なぜ“名前を付ける”ことが効くのか

名前を付けること、愛称化することには思った以上に多くの効果があります。

  • 親しみと記憶:長い行政名称や、何となく馴染みのない施設名では、地域の人が使いにくかったり、記憶に残りにくかったりします。愛称があれば「この前あの“〇〇ホール”でイベントやったよね」と言えるようになります。
  • ブランド化・印象付け:施設に企業名やブランド名が付くと、その施設のイメージも変わることがあります。例えば「△△○○ホール」という名前なら、「あのブランドが支えてる施設」というイメージが入ることで、安心感や期待感が生まれることも。
  • 広報・露出:施設名がメディアや広告、SNS等で出るたびに、命名権を取得した企業の名前も目に入ります。つまり“施設+企業”という形で露出機会が増える可能性があります。
  • 地域との接点づくり:企業が施設名を名乗ることで、地域の行事やイベント、地域住民との連携などに関わるきっかけが増え、地域とのつながりが生まれやすくなります。
  • 運営支援というメッセージ:単なる広告ではなく「この施設を維持して、地域に使ってもらいたい」「地域を応援している」というメッセージが込められると、その施設利用者、地域住民からの好感度も上がる可能性があります。

4.喜多方市の募集内容に見るポイント

喜多方市が設定している条件からも、命名権導入の具体的な枠組みが見えてきます。

  • 対象施設:「ひとづくり・交流拠点複合施設 アイデミきたかた」。これは地域の人々が集い、交流を図るという目的を持つ施設です。
  • 契約期間:3年間(令和8年4月1日~令和11年3月31日)という設定。比較的中期のスパンで、企業側も地域との関わりを考えやすい期間と言えます。
  • 年額ネーミングライツ料:1,188,000円(税込)という設定。施設の規模・地域・露出という側面も含めて、企業側が検討しやすい目安となっています。
  • 応募型態:施設特定型と提案募集型を併設しており、企業側から「この施設を名前で応援したい」という提案も可能です。

このように、単に“広告塔”を買うというよりも、施設の利用価値を高め、地域住民にとっても使いやすく、そして企業にも地域に根ざした支援という形での参加機会を提供しているところに意義があります。


5.検討される企業・団体へのメッセージ

もし企業や団体として「この地域の施設の命名権を取得してみようか」と考えている方がいらっしゃれば、次のような視点で検討することをおすすめします。

  • 地域との親和性・ブランドイメージ:その施設が地域住民にとってどんな存在か、どれだけ活用されているか。企業のブランド・イメージとマッチするかどうか。
  • コミュニケーション機会:施設名を冠するだけでなく、地域イベントや交流の場として使われる施設なら、企業が地域との接点を持つきっかけにもなります。
  • 利用価値・影響範囲:どれくらいの人がその施設を利用しているか、メディア露出や住民への認知度はどうか。命名権取得後の“価値”を想定しておくと良いでしょう。
  • 期間・費用・契約内容:今回のように「3年契約」「年額1,188,000円」という条件が提示されています。自社の戦略/予算と照らして検討しましょう。
  • 応援・地域貢献の姿勢:単なる広告としてではなく、「この施設を通じて地域を元気にしたい」「地域の人々が集まる場所を支えたい」という意思が伝わると、地域の理解・支持を得やすくなります。

6.まとめ:ネーミングライツ取得、検討してみてはいかがでしょうか

改めてまとめると、命名権(ネーミングライツ)は「企業の広告宣伝」という側面だけでなく、「施設の利用価値を高める」「地域とのつながりを築く」「地域を応援する」という側面を持った取り組みです。
喜多方市の今回の募集を通じて見えるように、施設を活用しやすく、地域に親しまれる愛称を付けることで、住民・企業・行政それぞれにメリットが生まれます。もし自社で「地域に根ざしたPRをしたい」「地域の施設を支えたい」という想いがあるなら、命名権取得は有力な選択肢の一つです。
地域の人々が訪れ、集い、交流する施設に自社の名前を付けることは、単なる看板以上に「この地域を共に歩むパートナー」というメッセージを発信する機会となります。広告としての露出ももちろんですが、地域の“場”に関与することで生まれる信頼・共感・つながりをぜひ活かしてみてはいかがでしょうか。
今後、地域活性化や企業ブランドの向上を併せて考えたい方にとって、上述のようなネーミングライツ制度の活用は、一考の価値があると思います。お気軽に検討してみてください。

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