「ネーミングライツ」で“地域とともに”未来をつくる──兵庫県西宮市の取り組みから考える

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※アイキャッチ画像はイメージです。

市が所有する施設を有効活用し、安定的な財源を確保することにより、持続可能な施設の運営と市民サービスの向上を図ることを目的として、ネーミングライツ・パートナーを募集しています。https://www.nishi.or.jp/jigyoshajoho/shinokokokujigyo/seidogaiyo/naming_rights_boshu.html

自治体が施設名の命名権(ネーミングライツ)を募集するという興味深い取り組みをご紹介します。


1. 西宮市がネーミングライツ・パートナーを募集

兵庫県西宮市では、同市が所有する施設の名称に “パートナー企業等の名称(愛称)を付ける” という、ネーミングライツ制度を導入・募集しています。
目的としては「市が所有する施設を有効活用し、安定的な財源を確保するとともに、持続可能な施設運営と市民サービスの向上を図ること」 とされています。
つまり、単に名前を売るというより、施設運営の“安定化”や“質の維持”を図るための仕組みです。

募集対象の施設として、たとえば市内のホール(「甲東ホール」「山口ホール」など)が挙げられており、年額最低50万円(税別か税含むかは提示あり)から愛称使用期間が設定されています。
応募方法としても、募集要項や申込書が明示され、電子メール・持参・郵送での応募が可能とされています。

このような制度は、全国の自治体でも徐々に増えてきており、地域の施設や公共空間を「名前を付けることで活性化/支援する」流れのひとつです。


2. なぜネーミングライツなのか?

まず、「なぜ市や自治体が施設のネーミングライツを募集するのか」、その背景と意義を整理します。

(1)安定的な財源確保と施設運営

公共施設は、維持・管理・運営にあたって多くのコストがかかります。特に老朽化対策や設備更新、日常の清掃・修繕などは予算を左右します。そこで、施設名に企業・団体の名前を付ける“命名権”という形で収入を得ることで、施設運営を“持続可能”なものにする狙いがあります。西宮市も「持続可能な施設の運営と市民サービスの向上」と明記しています。
つまり、地域の公共インフラを守るための“補助的な資金源”としてネーミングライツが活用されているわけです。

(2)地域とのつながり・地域貢献

ネーミングライツ購入企業・団体にとっては、単なる広告出稿という枠を超えて「この地域の施設を応援している」「地域とともに歩んでいる」というメッセージを発信できます。地域への関与・貢献という観点からも大きな意義があります。
たとえば「このホールは〇〇企業の名前がついています」ということで、地域住民の中でその企業に対する“身近さ”や“応援”の感情が生まれる可能性があります。
その結果、地域ブランドとしての価値が高まるとともに、施設利用者・市民・企業との三者のつながりが生まれやすくなります。

(3)名称による施設イメージ向上とPR効果

命名権によって施設名に企業名・団体名が入ることで、その施設が名前を持つ、ブランド化されるという副次的効果があります。新しい名称が市民の話題になったり、施設の印象をリフレッシュさせたりすることが可能です。
また、企業側にとっては「この施設を自分たちが支えている」といったストーリーを提供でき、CSR(企業の社会的責任)や地域貢献を打ち出すうえで有効です。西宮市の募集ページでも「企業にとっては、宣伝効果や地域貢献としてのCSRによるイメージアップ効果等を期待することができます」と述べられています。


3. どんなことが期待できる?

では、具体的にどんな“効果”が期待できるかを、少しイメージを膨らませて整理してみます。

  • 施設の認知度アップ
     地域にある公共施設が「〇〇ホール」に名前が変わると、新名称の浸透を通じて “このホール存在するんだ” と気づく人が増えます。地域の人々に施設を知ってもらうきっかけになります。
  • 企業・団体のブランド価値向上
     自社の名前が施設名に入ることで、地域に根ざしている印象や “地域のために貢献している” という姿勢が伝わります。広告としてだけでなく“地域社会の一員として”の認知が得られやすくなります。
  • 住民・利用者との関係構築
     施設名に企業名が入っていると、利用者が「この企業がこの施設を支えてくれてるんだな」という感覚を持ちやすくなります。その結果、施設利用者/地域住民と企業との間に“応援”という共感が生まれることがあります。
  • 地域活性化・施設利用促進
     施設の認知が高まり、利用機会が増えることで、地域のイベント・催し・文化活動などが活性化します。そこに企業名が入ることで、地域の話題性もアップします。
  • 持続可能な施設運営
     ネーミングライツ料という定期的な収入があることで、施設運営側(自治体)はサービスの質を維持・向上しやすくなります。つまり、地域住民にもメリットがあります。

4. 注意点・押さえておきたいこと

もちろん、ネーミングライツ導入には押さえておくべきポイントもあります。

  • 名称変更による住民の混乱
     「長年こう呼んでいた施設名が変わると、住民が迷ったり、愛着が薄れたりすることがあります。名称を変える際には、住民周知や広報が重要です。
  • 企業との相性・慎重な選定
     企業のブランドイメージ、事業内容、地域との関係性などが施設や地域コミュニティとミスマッチの場合、逆効果になることも。自治体側の審査基準などが重要です。西宮市も「ネーミングライツ導入に関する基準」「審査基準」が公表されています。
  • 契約期間・契約内容の明確化
     使用期間、名称使用ルール、禁止事項、変更時の扱いなど契約内容を明確にするとトラブルを防げます。
  • 広告色や地域感のバランス
     あまりに企業押し・広告押しが強すぎると「公共施設なのに企業名だらけ」と住民が感じてしまう可能性もあります。地域性・公共性を尊重する配慮が大切です。

5.購入を検討してみてはいかがでしょうか

自治体(このケースでは西宮市)の募集するネーミングライツ制度は、施設運営の安定、地域とのつながり、企業のブランド価値という三つの方向性においてメリットがあります。企業・団体の方々にとっては、ただ“名前を出す”というだけでなく「地域とともに」を体現できる機会と言えます。

もし貴社・貴団体が「地域で何か応援したい」「地域とのつながりを深めたい」「公共施設の支え手になりたい」とお考えであれば、ネーミングライツ購入を検討してみてはいかがでしょうか。

皆さんのビジネス・地域活動が、より地域に根ざし、みんなで支える施設とともに歩んでいく一助となれば嬉しいです。

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