福井県福井市 市民施設の“名前”に価値を。ネーミングライツで地域を応援しよう

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はじめに:今回のニュースから

※アイキャッチ画像はイメージです。

自然史博物館分館では、オープン時の平成28年度からセーレン株式会社との間でネーミングライツ契約を締結しており、この度、第3期として令和8年4月1日から10年間のネーミングライツ契約を締結しましたので、お知らせします。https://www.city.fukui.lg.jp/kyoiku/gakusyu/museum/p071603.html

福井市はこのたび、自然史博物館分館のネーミングライツ(命名権)契約を更新し、令和8年4月1日から10年間、**「セーレンプラネット」**という愛称で運営することを正式に決めました。福井市
この契約では、年額700万円(消費税等を含む)での契約となっています。

この発表を端緒に、ネーミングライツとは何か、なぜ導入されるのか、どんな効果が期待できるのかを、具体的な事例を交えながら見ていきましょう。


ネーミングライツ(命名権)とは何か

簡単に言えば、公共施設や文化・スポーツ施設などの“名前”(愛称)に、企業名や商品名、ブランド名などを冠する権利のことです。
その対価(命名権料)を施設運営側(多くは自治体や公共団体など)が受け取る仕組みです。

ただし、注意点として「正式名称そのものを変えるわけではない」ケースが多く、条例上の正式名称は残したまま、親しみやすい愛称を別に付けて活用する、というスタイルをとることが一般的です。

福井市でも、ネーミングライツを「市民・施設利用者・パートナー(企業等)・市(自治体)」のそれぞれがメリットを得るものと位置づけ、広告収入確保の一つの手段として導入を進めています。

また、ネーミングライツを導入すべき施設・導入すべきでない施設の基準も示されており、不特定多数が利用する施設、年間を通じて複数のイベントが行われる場所、メディア露出が見込まれる施設などが導入の対象になりやすいとされています。


福井市の事例:自然史博物館分館「セーレンプラネット」

導入の経緯・契約更新の背景

この博物館分館は、平成28年度から、福井市と地元企業であるセーレン株式会社がネーミングライツ契約を結び、「セーレンプラネット」という愛称を用いてきました。

そして今回、3期目となる契約を更新し、令和8年4月から10年間の新契約を締結する運びとなったというものです。

このように、ネーミングライツを長期で継続することで、愛称が定着し、地域や利用者にとって馴染みのある名前になることが期待されます。

契約金額と期間

  • 年額:700万円(消費税等込み)
  • 契約期間:10年(令和8年4月1日~令和18年3月31日)

金額や期間を見て「高い?安い?」と感じられる方もいるでしょう。重要なのは、その施設にどれだけ価値を感じてくれる企業がいるか、そしてその地域での認知・利用がどれだけ見込めるかによって適正な価格は変わる、という点です。


他の福井市事例:フェニックス・プラザ「大ホール」

ネーミングライツはこの博物館分館だけでなく、福井市内には他の事例もあります。

  • フェニックス・プラザ内の 大ホール に対して、ネーミングライツの優先交渉権者として TAKAIホールディングス株式会社 が選定され、愛称を 「エルピス 大ホール」 と決定しました。
  • 命名権料は年額 1,012,000円(消費税等込み)で、契約期間は5年間(令和6年4月1日~令和11年3月31日)とされています。

この例は、博物館とは異なる種類の施設(ホール・イベント施設)であり、利用形態や収益構造も異なります。そのため命名権料も博物館とは異なる水準になるという点も、ネーミングライツ導入において意識すべきポイントです。


なぜネーミングライツを導入するのか?その意義・効果

ネーミングライツを導入するメリットは、単なる広告収入だけではありません。以下のような面が重視されます。

1. 安定した収入源・施設運営資金の確保

公共施設を維持・管理・運営していくには、長期的な費用がかかります。施設の老朽化対策や日常の修繕、設備更新なども含めて、安定した財源を持っていることが望ましいです。
ネーミングライツは、こうした運営費や改修費に充てることのできる“定期的な収入”を提供する手段となります。

このような収入があることで、施設利用料を過度に上げずに済んだり、利用者サービスの質を保てたりするなどのメリットがあります。

2. 企業にとってのPR・地域貢献の場

ネーミングライツを取得する企業(パートナー側)には、名前を通じたPR効果があります。施設名に企業名やブランド名が付くことで、来館者・利用者・地域住民に認知される機会が増えます。

また、地域の公共施設を支えることで「地域貢献」「CSR(企業の社会的責任)」を果たすイメージも築けます。地域とのつながりを深めたい企業、地元企業であることをアピールしたい企業には、魅力的な機会です。

3. 愛称を通じた親しみ・地域のアイデンティティ

単なる施設名よりも、親しみやすい愛称が定着することで、地域住民の間で使われる言葉になります。「今日はセーレンプラネットに行こう」「エルピス大ホールで聞きたい」といった言い方が自然に出てくるようになると、施設が地域の文化として根づきやすくなります。

愛称が定着すれば、広告的な意味だけでなく「その地域らしさ」を醸成する要素にもなっていきます。

4. “応援”としての意味合い

ネーミングライツは、「単にお金を払って名前を付ける」だけではありません。「この施設を応援する」「地域とともに発展したい」という意味合いを含むものでもあります。
施設を使う市民、地域住民も、「この名前には地元企業も関わっているんだ」「地域企業がこの施設を支えているんだ」と感じることができます。そうしたつながり・愛着は、施設利用・支援・賛同の意識を醸成する土台になり得ます。


注意すべき点・導入にあたっての課題

ただし、ネーミングライツを導入する際には、いくつかの課題や配慮も必要です。

  • 命名権料の妥当性:施設の規模・利用実績・将来見込みなどを踏まえて、適切な価格設定を行う必要があります。高すぎても応募が出づらく、低すぎると価値を見いだせないという懸念があります。
  • 運営・管理コスト:ネーミングライツを扱うには契約交渉・広報戦略・ブランド管理など、事務的なコストや労力も発生します。導入メリットと負担のバランスを見極めることが必要です。
  • 名称と施設の性格との整合性:施設の性格(公共性・文化性・歴史性など)によっては、ネーミングライツの導入が「広告臭が強すぎる」と感じられることもあります。地域住民の理解を得るための説明や配慮が不可欠です。
  • 契約期間・更新:長期間契約することで愛称が定着しやすいですが、変化にも対応できる柔軟性も求められます。更新時の見直しや、契約終了後の移行策なども検討しておく必要があります。

ネーミングライツ購入を検討してみませんか?

最後に、もし企業や団体としてネーミングライツの取得を検討するなら、ぜひ考えていただきたいポイントを挙げます。

  1. 施設の特性と利用見込みを確認すること
     人が多く集まる施設、メディア露出がありうる施設、長期にわたって使われる施設が向いています。
  2. 地域とのつながりを重視すること
     地域住民の理解・支持があってこそ、愛称が受け入れられます。「地域貢献」の側面を強調する取組みがカギになります。
  3. 中長期での視点を持つこと
     名前を付けて終わり、ではなく、広報や運用と連携させることで効果を継続させることが大切です。
  4. 契約条件をしっかり詰めること
     愛称の使い方、期間、更新、解除条件、表記ルールなどを明確にしておくことが、後のトラブル回避になります。
  5. 他の成功・失敗事例を参考にすること
     今回の福井市事例に限らず、全国各地での導入例を調べ、規模感や契約内容、愛称の使われ方を見ておくと安心材料になります。

ネーミングライツは、単なる広告ではなく、施設の価値を高め、地域とのつながりを育て、支え合う関係を築ける可能性を秘めた手法です。もし機会があれば、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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